[音を紡ごうとする少年の残り香を携えた青年に、浮かべた笑みを深くする。>>118
堪えるように引き結ばれた唇は、漸く困惑を乗せた声音を発したので、首肯でそうだと示す。
躊躇の原因は思い当たれど、やはりよそうというそぶりは見せない。]
キミと一緒に連れてこられた子たち、
みんな緊張してるみたいじゃない。
だから、和ませてあげなよ。
硬く締まった血管から絞り出させるより、
リラックスしてる状態の方が、甘いからね
[餌を美味しく味わえるようにしろ、と残酷な理由を明かす。
益々演奏への躊躇を煽ろうと。
躊躇いや拒否が返って来るようならば、手を打ちドールを呼ぶ。
所望した片手持ちペンチが運ばれて来れば、指も潰せる程に頑丈な金属質の挟み部をかちかち、と鳴らす。
男は、こういった道具で遊ぶ方が、爪で掻くよりも好きだった。
身近にあるものを本来の用途以外に用いられる方が、非現実的な脅威よりも、一層恐怖を煽ると、知っているから。]
(129) 2014/01/25(Sat) 23時頃