[あいにく日ノ本の妖怪に詳しくはない。多分蛟の眷属か何かがやっている事だろうと辺りをつけた程度で、再び目の前の娘の血を啜る。
ふと、火を纏った烏がこちらに近づいていた]
何だ。我は汝らの主と敵対した覚えはないぞ。鳥頭では、その辺りも区別はつかぬか?
去れ。去らぬならこうだ。
[言い終わらぬうちに烏を指し示す。その刹那に紫の稲光が指より放たれ、燃える烏は火花を散らしながら瞬く間にさらに黒くなって燃え、焦げ臭い炭の塊に成り果てていた]
同朋に伝えておけ。我は汝らに与してやるのだから我の手を煩わせるなと。
[事が済んだのを確認すると、ツェンは童女の血を啜り終え、その場に童女を残して立ち去った。]
やはり同胞の屍を増やすならば祇園だろう。
舞妓の血は他より旨い。猫など食っている場合ではない。
[京の都にぽつぽつと、牙の痕を残して気絶した女子供を増やしながら、ツェンは京の町の一角に姿を消す**]
(129) 2018/11/09(Fri) 01時頃