じゃ。 ――目を[じっと観察する先には、白濁するでもなく、おかしな色になるでもなく黒曜のように艶やかな瞳が光を湛えてそこにある。幾らか診察を重ねる。薬は最後にしよう、と言われた。目は全く見えるようにはなっていないようだが患者に「否」と言われれば、医者はそうするしかない。何故こうも正常に見える目が、十全に機能しないのか。目の奥に異常があるならばと考え今までやってきたが目の前の少女には、器官的な何かがどうというより――…… 何か 何かが決定的に足りていない。もしくはこの直感を「封じてしまっている」と形容するが正しいのか。読んでいた本をぺしりと叩いて、ふ、と溜息。]
(128) 2015/05/10(Sun) 00時頃