[藤舎が、マネキンに触れる。>>123
そうして、何かに驚いたように手をひっこめた。
首を傾げるその姿に、怪訝には思う。決して、この場所は寒くはない。
それなのに、氷に触れたかのような藤舎の反応。
そのマネキンは、冷えているのだろうか。
疑問には思ったが、触れることはしなかった。
何故なら、うずくまるマネキンの髪は、ちっとも整っていなかったし。>>2:427
纏う制服は、いつもきちんとお洒落をしていた遠野雛子のものではなくて、明らかに借り物だったし。
蹲る姿は、触らないでほしいと拒絶するようにも見えたし。
同じ"可愛い"でも、一六こひめとはまた違う、女の子の中の女の子。
女の子であることを、女である意味を、きちんと全うしようとするような女の子。
だから、そういう姿を見てしまったことはもう仕方なくても、せめて手は触れずにおいた。]
(127) 2015/11/06(Fri) 00時頃