――「吸血鬼」のアパートメント――[工房兼自宅は町中からやや離れた場所に存在する。 そこを出て暫く歩いて目的地に着くと、日はすっかり傾いていた。] ごめんください、[声楽も習っていた名残か、職人となってからも声の張りや響かせ方には力がある。 所謂バリトンボイスは室内にいる人物に届いたか。] 「俺」を押し売りに来たよ。 それと、美味い酒を。[相手は学生に見えるが自分よりもずっと年上の吸血鬼だ。 酒を勧めても捕まることはないだろうが、本人が飲めるかどうかまでは確かめていない。 飲めなければ持参したお猪口には別の液体が入ることになるだろう。]
(127) 2019/10/05(Sat) 23時頃