― 停留所 ―
[シャッターの下りたままの店。あれは確か本屋だったか。
客引きの声も軽やかな隣の花屋は初めて見る顔。
数ヶ月ぶりの寄港でも、ーーいやだからこそか。
変化を楽しみながらの道行きは、それなりの疲れと荷物のおかげで結局は真っ直ぐに家に向かうことになる。
港の終着駅からひとつ隣の、路面電車が立ち寄る小さな停留所。
マーケットを楽しみにしている観光客の隣に並ぶ]
ふぁ、あ、 ……ねむ。
[噛み殺した欠伸を早く海じゃなくて太陽の匂いがするシーツに滑り込ませたい。
帰宅の連絡は滞りなく。スイート・スチュワードは間違いのない仕事を済ませているだろう。特に誰を、と指名することもないが、浮かぶ顔は一つだ。
船員仲間にハワードと同じ頃の仲間は多く、しかし彼らはもれなくだらしがない……生まれか、育ちか、訓練か。そのどれもだろう。
彼に、と少し多めに振り込んである支払いも、あそこならきちんと反映してくれるだろう]
(127) 2019/07/26(Fri) 22時半頃