〜回想〜
[敬語、振る舞い、他にもたくさん。少しだけマダムに教わり、やってきた館で。愛しい彼女を見つめ、ふとあの絵画に視線を向けた瞬間]
__貴方、なにしているんですか……っ!
[普段なら他人になど目もくれないだろうに。そう、あの忌々しい行為>>89を目の前にして黙っているわけがなかった。手の甲にしていたなんて知らない。自分には絵にしていたように見えたのだから。
それだけで、冷静な彼の表情は歪むのだ。]
……は……?
[唐突な質問に、眉がぴくりと動く。「音楽をおしえてあげる」と彼女は言った。だからついてきた。そのようなことを言ったような気がする。そして、絵から離れろと鍵盤を叩く細い指で、彼にしては珍しく、相手の腕をつかみ、引き離した。
どちらにせよ、決して親が欲しいとか、金が欲しいとかそんな理由ではなかった。]
(126) 2016/07/27(Wed) 20時頃