―5月3日朝7時頃、第二封鎖線付近―
>>120
[彼女は自分をリリー・カートライトだと認め、フードを取る。間違いなく彼女だ。当たりはつけてみたものの、フードを取るまでは自信がなかった。実のところ、数年前、パティは彼女を妬んでいた。彼女だけではなく、同じ年頃の少女たちのほとんどを妬んでいた。自分が粗末な服を着て働いている間に、彼女たちはおしゃれな服を身につけて遊んでいる。生まれた場所がほんの少し違うだけで、なぜこんなにも違うのか。そんな劣等感をずっと抱いていた。リリーが記憶している、楽しい話というのも、相手に適当に合わせていただけ。ただの処世術だ。しかし、今の彼女は自分の知る姿とは全く違っていた。妬む気も起こらないほど、落ちているように見える。いったい何があったのか。パティはよく知らない。気にはなったが、今は処刑のことの方が先だ。]
へえ、そうなんだ…久しぶり…ですね…
[リリーにそれだけ言うと、軍人らしき男に顔を戻す。>>117]
蔓延する前に…ね…
病気にかかってようが、かかっていまいが、全部殺しちまえばいいってことかい?
捨てられたんだね。
[冷たく、そう言い放った。]
(125) 2013/07/24(Wed) 23時半頃