急がないと――…雨が来てしまうわ[弱弱しい声色は今にも泣き出しそうなものなのに涙は出ない。涙を流すとそれだけ、死が近づくと知っているから。] ……ここまで…… なの……?[雨が凌げそうな建物は、目の前にあるというのに。これ以上、足が動かない…進めない。―――トサリ。細身の身体を支えていた膝が震えて女もまた、異形の傍らで崩折れた。**]
(125) 2010/07/15(Thu) 21時頃