― 現在・レストラン『ボーノ』 ―
いらっしゃいませー。
何名様ですか?
[カラン、と入り口の鐘が鳴る音に振り返って笑顔を向ける。下げた食器をカウンターに置いて、新たに入ってきた客を席までご案内。時刻はランチタイム。
少女に見間違うにしては声が低いし背も高いので無理がある。けれどどこか中性的で柔らかな雰囲気を持つ青年の快い応対を、悪く思う客は少ない。
特に、対象が女性ともなれば。]
ご注文はお決まりですかー。
今日のおすすめのご案内、要ります?
[少し砕けた口調もご愛嬌。こちらの顔をしげしげと検分する瞳とちらりと合えば、にこ、と笑顔を上乗せサービス。
観光客とは毛色が違う。明らかに裏通り関係のお仕事らしきお姉さん方からからかいと艶が含まれた視線を向けられ、首を傾げて見せながら堂々と躱した。
それくらいで赤くなるほど初心ではないと。]
ごゆっくりどうぞー。
[少し残念そうな気配。テーブルに料理を運びながら、遊ばれてあげなくてごめんね、と言外に告げた。]
(125) 2014/01/19(Sun) 02時頃