−E地区・ひとり住宅街へ−
[細い路地に響くのは、一人分の足音だけ。さっき彼の傍を通り過ぎる時に聞こえた台詞>>112を頭の中で反芻して、男は思わず呟いていた。]
…甘い、甘いなぁ、ケイゴ
無関係なウイルスの存在が、自分の願いよりも大切?
[色素も厚みも薄い唇を噛んで、不快感を露わにする。
なら、早くリタイアして席を空けてくれ。そんなことにかまける程度なら、どうせ大層な望みでもないだろう?
言い返さなかった言葉が腹の底でふつふつ沸いて、苛々を募らせる。
あぁ、失敗した。変に情けをかけずに、さっさとポイントを奪ってしまえばよかった。そうすれば、こんなに嫌な気分にならずに済んだのに。]
−−ま、いいか。収穫がなかったわけじゃない
[甘ったれた性格とわかれば、付け入る隙を見つけるのは容易い。それに、彼の能力も見当はついた。
目が不自由だった>>110と言うのなら、当然それを補うためのもの。詳細はともかく、周辺探知には長けていると思っておいた方がいいだろう。
もうリールを動かすことはできない"悪魔からの贈り物"を起動し、参加者の羅列から彼の名前を見つけて微笑む。]
またね、カザマツリケイゴ。次に会うときはさよならだ
(124) 2014/12/07(Sun) 23時頃