― 廊下 ―
[……それぞれがそれぞれに思い悩むのを、部屋の入口辺りに座り込んで聞いていた。リンダはそばにいただろうか。]
結局。
このシステムを生み出した人間は、それが罪であることを投げ出した、ということですね。
[唐突な、一言。]
鳥を食べたことがない人は、永久にそれを食べられないとしても残念とは思わないでしょう。
しかし、食べたことがあり、それを美味しいと感じる人に、同じことをしたならば。
そのひとは悲しむでしょうね。しかし、そこに見過ごしがちなことがある。
食べたことのないひとにくらべて、ひとつ多くのことを知っているのだということを。
知ることは罪を生み出すかもしれない。
けれど、知らないことはそれゆえの罪を生んでいる。
[トレイに盛ったオレンジを一口、ほおりこみ。]
……まったく、どこまでもろくでない。
(124) 2011/04/16(Sat) 22時半頃