[嗚呼、何処ぞ見世物に客寄せする商人のような。
然し、それにしては随分と寄り難い口上の、声の先を目線ばかりで辿ったのは駆け出して間もない頃の事。
けれど、その姿なんぞは知らないでも、語り口調というものが聞いた事のあるような気さえするのだが。
聞いていたとしたって随分と昔である故に、思い違いという事もあるやもしれない。>>@11
況してや今は、それを確かめる術もなければ、左様な刻限さえも拝借できないような状況であった。
異口同音に、啼き声立てる蛙が飛びかかってくるのから逃れんとする以上は。]
…諄い! 次から次からと…!
[木刀では斬って伏せるなどという事もできず、飛びかかってくる蛙を跳ね除けるしかなく、尚も衰えなく鳴く声は増えるばかり。
全く他に道行く者には目もくれず、逆も当然意にも介さず。
成る程、死んでいるらしい事に現実味は増すばかりだ。
だからと云って、素直に消えてやる気などはなかった。]
(124) 2017/06/09(Fri) 19時頃