― →会議室 ―
[>>118>>119己を呼び止めようとする声が二つ。
それを背中で受け止めながら、口元に浮かぶのは笑みだった。
非戦闘員という守られる立場は、こういう時に役に立つ。
尤も、くだらない芝居の合間、笑いを堪えるのには苦労するのだが。
会議室の扉の前で足を止め、はぁ、と大きく息を吐く。
呼吸を乱したまま、己にしか聞こえない耳元の囁きを思う。
それだけで熱は容易く、己の身体に灯っていく。
奥底に精を吐き出される感覚と、優しく己をあやす掌。
それを思い出すだけで、淫気に溺れる憐れな一般人の風情が完成する。
それから>>14己の血液から作り上げた薬を口に含む。
厚みのあるカプセルを飴を舐めるように唾液で溶かしながら、会議室の扉を開けた。
遊びの時間は終わりだ。
――――否、これから遊びの時間が始まるのか。]
(123) 2016/06/07(Tue) 21時頃