[そう騒ぎ立てたつもりはなかったのだが、花盛りの娘である。
殿方との触れ合いは慣れぬもの、関わる異性は兄と父親と教師らが精々で、他者との関わりは毅然を装うも加減が判らぬのも事実だった。
女三人寄れば姦しいとは言うが、いつの間にかお喋りが過ぎたのかも知れぬ。
────其れとも、西洋の娘達はもっと口数が少ないのだろうか。
然し言葉を返そうとして、唇に男の指先を感じれば流石にその言葉を呑み込んでしまった。
頬が、熱い。
(異人の男達はこうも、乙女の柔肌に簡単に触れるものなのかしら?
────馴れ馴れしい。
私の肌に触れて良いのは将来の伴侶だけですわよ?)
それとも西洋の乙女達は、こうして触れられても黙っているのだろうか。
それとも、触れられるのを喜んでいる?
だとしたら、そのような尻軽な娘たちの美しさなど要らぬし、同一に見られたくも無いが。
一層頬を染めて眉を吊り上げると、プイと顔を背けた。
ただ、どうしても一言余計に言葉を発してしまう]
(123) 2016/02/24(Wed) 23時半頃