[そうして教室を出ていく面々を見送って、ふと昇降口でのことを思い出す。>>0:319
残っていた来夏に、なんとなく、声を潜めるようにして尋ねた。]
……ねえ、来夏ちゃん。
携帯って、今、電波通じてる?
実はさっき、昇降口で──、
[言いかけて、だけどその言葉が最後まで紡がれることはない。
ぽつりと落とされた樫樹の声が、やけにくっきりと響いたから。>>78]
……え?
窓……窓、って?
[ぽかんとして、やり取りする樫樹と佐久間の様子を見守る。>>82>>85
佐久間もまた窓を開けようと試みるのを、そうっと近づいて、後ろから覗き込む。>>92
雪は確かに酷いけど、窓が凍る程じゃない。鍵だってちゃんと開けている。
それなのに、男子が2人、窓を開けようとして開かない。
不意に樫樹が零した問いかけにも、ふるふると無言で首を振った。>>86]
(122) 2015/07/06(Mon) 19時半頃