[よたよたした手つきでメールを打っていれば、電車がある駅に止まる。
乗り込んできた女子生徒に声をかけられて、顔を上げた。>>85]
……月詠、ちゃん!
[わぁ、どうしよう。どうしよう。
顔が赤くなっていないか、とても気になってしまう。
三星 月詠。
彼女もまた成績優秀、運動神経だってよくて、どこまでも素敵な憧れの女の子だ。
何よりも印象的なのは、その、艶やかな黒髪と赤錆色の瞳。
す、と涼しげなその瞳でこちらに向かって微笑まれてしまえば、もう、どぎまぎとする気持ちを隠せない。
自分のぼんやりとした目元や、半端に癖づいた子供っぽい細い髪が、恨めしい。
思わず、きゅっとスマホを握りしめながら、挨拶を返す。]
おはよう、月詠ちゃん。
ね、雪、すごい。
これ、学校まで歩くうちに、濡れちゃうかなぁ。
でも、ずっと携帯見てたけど、休校の連絡は来てないみたいで……
(122) 2015/07/04(Sat) 19時半頃