― エピローグ・数年後 ―
ミーム。おまえ、こんなところで暮らしてたのかよ。
[野山に分け入りながら、横にいるミームに話しかけた。
ミームの故郷に立ち寄りたい、そう言い出したのはドナルドからだった。
来たるべき戦いに備えて休養が必要ではあったし―――なにより、彼女の故郷をこの目で見てみたかったのだ]
虫がすごいな。
……障壁《バリアー》。
[ぶんぶん飛び回る蚊に業を煮やして、簡易魔法を展開させる。
まったくもって魔力の無駄遣いだが、屋敷育ちのドナルドには耐えがたいのだから仕方ない。
額の汗を拭いながら、慣れた様子で身軽に先を進むミームを見遣った。
舗装されていない道なんて有り得ない派のドナルドからしたら、驚異の身体能力である]
ちょっと、待ってくれ。ミーム。
進むのが早―――
[言いかけて、視界が開けた]
(121) gurik0 2015/05/05(Tue) 13時頃