[きれいなお花に、おいしいごはん。
しあわせなおはなし。
それがあればみんな元気になれるはずだってわたしは信じていたけれど。
もしかしたら、シルクにはバレちゃったかもしれない>>80
よくシルクにはお絵描きをしようって誘っていたから。
でも、そうだとしたら、他の子にも見られたかもしれない。
おわかれの後、開いたノートに描かれていたのは、小鳥さんの絵。
傍らに小さく“ごめんなさい” 綴った文字]
ごめんなさい。泣けなくて。かなしいって、涙を流せなくて。
……ちゃんと、おわかれが言えなくて。
[その日、わたしは祈りの堂で両手を合わせてちいさく謝っていたの。
礼拝はキライじゃなかった。
けれど、きらきらと輝くステンドグラスにあの小鳥の色を見つけたような気がして。
ちいさく震えて膝を折っていたわたしを迎えに来てくれるだれかはいたっけ]
(121) 2016/10/07(Fri) 20時半頃