[それなりの時間をかけて医者の元に辿りつけば、後は知識のある者に任せることになるだろう。その間に、後を追ってきた者は追いついたかもしれない。医者が、入室を許可したかはわからないが。身体を検査される際、自らの身体に施された刺青に、己の事ながら驚いた。そして、鏡越しに見た自分の顔にも驚いた。そして何より、自分の身体がどんな姿をしているのかという事すら、曖昧だった事に驚いた。――― あまりにも、抜け落ちた記憶が、多すぎる。そのショックのせいか、医者の下した診断は殆ど頭に入らず。医者もそんな自らの状態を悟ったのだろう、村民に己の身体の状態を告げてもいいか、と、確認を取る。頷く事しか、できなかった。]
(120) 2013/06/16(Sun) 02時頃