ー 現在 ー
[奇妙な感覚に目を開ける。全身温かいものに包まれていて、緩い倦怠感が体を支配している。ゆっくりと寝ていたいのに、ゆさゆさと揺り動かされていてそれで……]
……は?
[は、と気付いて目を開けるとそこはまだシャワー室……のはずだった。背中に当たる固いタイルの床と湿った空気は確かに覚えがある。
でも壁から生えている奇っ怪な触手と、俺のタンクトップをたくしあげて恍惚の表情で乳の臭いを嗅いでるオッサンは、知らない]
……うあ!?やぁ、やめろ、馬鹿!!
[がつん、とメリケンサックの無い手で殴りつけると、小太りで禿頭の真ん中にキューピー人形みたいな前髪を生やしたオッサンは横っ飛びに吹っ飛んでいく。
身体を起こして辺りを見渡すが、さっきまでいたはずのヘクターはどこにもいない。シャワー室にはただキモイ触手と、キモイオッサンだけが残っている]
(119) 2016/06/10(Fri) 01時半頃