変わる?何が?変わりすぎましたよ、何もかも。
[(ねえどうして言わないの?なんでなにも言わないの?貴方が見ている色を、貴方が思っている僕のイメージを、教えてよ。
なにを貴方は考えている?)
ずっとあの人に聞きたくても、何も返ってこなかった。自立、自立、自立。
並べ立てられた言葉が、若者の世界を真っ黒に染め上げてゆく。
そして、彼が彼女の死を認識した時、その黒は、全てを埋めた。]
これ以上なんて望まない、望めない。
勇気なんか、僕にはいらない……っ
[頭を抱え、今だけは、仮面を外す。もし庭に誰かが来たと気づいたのなら、すぐに取り付けるだろう。1度なにかを与えられてしまった犬は、主人に誠実に一生仕えることしか脳がない。
主人を亡くし、行き場をなくした彼には、何も出来なかった。「自立」など、できるわけがなかった。
黒の世界に白を継ぎ足すことを、若者は知らない。
誰が継ぎ足すのかも、自分でできることなのかも。]**
(118) 2016/07/30(Sat) 00時半頃