―201X年/最後の席替え後―
[席が隣になった途端、加賀宮との距離が縮まったのは事実だ。
直ぐに帰宅の準備をすることが多い彼のこと、前から目を付けていて。
機会があれば話したいと思っていたから。
だから、席替えで隣になったのは、いいタイミングだったのだ。
物腰柔らかい彼に好印象を受けて、あれこれ話し掛けている最中だった。]
意外とってなに、もうすっかり仲良しだって。
―――妬いてる?
[俺は引き当てた席に上機嫌で、麻倉が抱えた複雑な気持ち>>109には気付かなかった。
だから隣の席になったばかりの加賀宮の肩にでも片手を置いて、きっと無神経な、ふざけた一言を返したのだろう。
その言葉に言い返すこともなく、素っ気なく。
笑顔だけは貼り付けたまま、通り過ぎた彼の。
横顔は今でも不意に、思い出す。
いつもみたいに、―――バァカ。って言ってくれると思ったのに。]*
(118) 2015/03/29(Sun) 16時半頃