─当時の話─
[鈴の音がすれば思い出さないはずはない。
これを寄越した男は野蛮なくせに人懐こくて、初心で、こちらの都合など御構い無しだった。
提出すべき報告書をあげて、次の任務の下準備のために下調べをしていたときだったように思う。
猫扱いされるまでは仕方ないにしろ、首に下げられる鈴など猫の首輪同然ではないか。
加えてそれを堂々と隠しもせずに面と向かって言う>>@36ものだから殴るだけで済んだことを考えるとあの時の自分は思ったよりも冷静だったのだと後になれば思えた]
差し入れをしにきたのか、喧嘩を売りにきたのか、どっちなんだ全く。
もしも喧嘩なら喜んで買い取るが、あとで恨み言を言うなよ。
[目くじらを立てて言ったところで拳を生業にする男にこちらの一発など大したことではなかったらしい。
茶だの酒だのと唆してくる一つ下の男>>@37に押し負けて、下調べの一群から渋々と視線を移しながら]
…全く、お前は。
いつになったら私の好みが緩いホットミルクだと覚えてくれるんだか。
[どうせまたすぐに忘れてしまうだろうケヴィンをみて、苦笑を浮かべた。
何故か憎めない男が寄越した鈴は、その日からずっと神影の手元に存在している]
(117) 2018/02/20(Tue) 16時半頃