―加賀宮との帰り道・堂本との回想―
[俺は今だってガキだ。ガキだけれど、入学した頃はそれに輪をかけてガキだった。
家の手伝い、仕事。
年子の姉が入った難関高校は成績を維持するのがやっとのようで、家ではいつも荒れていた。仕事もできないので、その分自分の仕事が増えた。
何よりもその頃の家庭の、緊張した空気。
その全てに嫌気が差して、虚無感だけが気持ちに巣食っていた頃。
同じ帰宅部でも、放課後遊びに興じる奴らを羨む目が見つめていた。
斜め前の席に座る>>96、堂本に対しても同じだった。
―――ヒマでいいよな。
なんて。
堂本の姿が見えなくなってから、誘拐?誘拐か?と騒ぎ立てた自分と加賀宮だった。
それから急速に仲良くなったらしい加賀宮と堂本>>103。
環境が違うとはいえ、家の仕事をしているという共通点に惹かれてはいた。
未だ、深く話したことはなかったけれど。]*
(117) 2015/03/29(Sun) 16時半頃