[右手が軋むような耳障りな音を立てながら、相手の肩をとらえた。鈍い痛みを伴いながら力任せに、挑発的な言葉もろとも眼前から突き飛ばす。
……その腕を突き下ろされた刃が裂いた。一瞬引くのが遅れていたら、貫かれていただろう。
激痛と共に鮮血が散る。]
……でも、負けるわけにはいかないんだ、よ…っ
生き残ると……約束した、守りたいものができたんだ。
[フランクは――強い。静かにそれを認める。
そんな彼は何のために戦っているのだろう。その強さは、どこから来るのか。
ふと、そんなことが気になった。
傷をつけることすら満足にできない男を、せめて目で射ぬかんと、睨み付けて。]
悪いけど、喧嘩に付き合っている場合じゃあ、ないんだよ。
彼女のところへ行かないといけない――
[言いながら、銀の靴はすでに敵を目指している。もう、負傷した両腕はあまり役には立たない。血も足りない。体力もとうに底をついている。
次の一撃にすべてを賭ける。]
(116) 2014/11/18(Tue) 22時半頃