―コテージ―
僕は、あちらの部屋を使わせてもらいます。
……荷物を広げるのに、ベッドが余分に必要なので。
[コミュニケーション能力の低さが遺憾なく発揮される、部屋分け話。大部屋の入り口あたりに集まっていた面々に適当に声をかけ、余っている2人部屋だか8人部屋だかを指して言う。――過去の旅では、毎度持参している寝袋に包まって野外泊することも多かった。寝床に頓着はしない。荷物にしても、そのあたりに放り出しておいても構わない。
今回も、別にどこでも良かったのだが。]
――寝付けなければ、部屋を空けます。
声をかけてください。……ジェームスさん。
[大勢で賑やかに過ごす夜に慣れていなさそうなジェームの傍、耳元に顔を寄せて提案だけしておく。彼が、ひとりで眠れる部屋を念のため確保しておこうといった算段だ。]
(116) 2015/11/12(Thu) 22時半頃