─ 白い釣鐘が咲く園へと ─
[己が見た時、この辺りの空は薄暗かった。
けれど今は鮮やかな光の波が揺らき、辺りには白い白い釣鐘みたいな花達か風が吹く度に戯れるように揺れている。]
……こんにちは、と言うべきかな。
[そんな釣鐘達の中に、濃鼠色の瞳を持つ少女がいて>>49。
小さく足音を立てながら近づき、二、三歩ぶんくらいまで距離を詰めれば彼女の正面で立ち止まれば、そう声をかけた。
黄泉路で少女と出会うといった状況のせいか、にちょっとした疑問符を表情に張り付けて。]
あたしは慶三郎。
ここは黄泉路だと思っちゃいるんだが、どうにも想像と違いすぎている。
お嬢さん、何か知っていることはないかい?
[訊ね、それから少女の持つ釣鐘に似た花へと視線を落とす。
ホタルが閉じ込められているなんて知らないそれを、まるでふくろのように持つ様に、またひとつ表情に浮かぶ疑問符が濃くなっていた。**]
(116) 2015/12/07(Mon) 23時頃