―コンビニエンスストア―
[コンビニは、足を踏み入れるとひんやりと涼しい空気に満ちていた。
クーラーの効いた店内に、所狭しと並ぶのはお菓子やお惣菜の陳列された棚。
つい窓際の雑誌コーナーに目が滑るのは、本の虫の悲しい性と言える]
……あ、私ドーナツが好き。
私もちょっと出すから、大袋を買ってみんなで分けよ?
[雑誌の表紙から視線を引きはがして、七尾に並んでお菓子コーナーへ。
秋の新商品のチョコが並ぶ棚は、それはそれは魅力的だ。
でも今日の天気では、チョコは溶けてしまうかもしれない。
そうなったらとても勿体ないので、恵冬は小さなドーナツが個別包装された、コンビニブランドのドーナツの大袋を手に取った。
文化祭の準備の間も、居残りで作業するクラス委員と文化祭実行委員の面々にこうしてお菓子を差し入れたものだ。
文化祭はもう終わってしまったけれど、恵冬はまだ、余韻から抜け切れない部分がある]
(116) 2015/06/18(Thu) 00時半頃