―ある夜更け>>82>>83―
[夜の散歩の首尾は上場だった。
蝶によって作られた「経路」で、新たなアジトである廃病院への移動手段を確認し、ついでに色々と悪趣味な戯れに興じたりして――宿主の常識と正気がまたいい感じに破壊された帰り道のこと。]
――っ!?
…………な、なんだ、明之進かあ……
[許可が下りているとはいえ、こんな夜更けに出歩いている姿はなるべく誰にも見られたくない。
気配を消し、不自然になりすぎない程度に足音を消しながら歩いていたので、呼び止められた時はひどく驚いた。思わず刃を抜いてしまいかねない程に。
だが相手の方に疑念がないと悟ると、肩の力がすとんと抜けた。
年の近いこの少年は、ケイイチも肩ひじ張らずに接することのできる数少ない存在だったようだ。それだけに、不自然な点を見せられないと警戒したが。]
あーー、うん、なんか……検査ばっかりで、逆に眠れねーっつうか……
[などともごもごと言うだけで、あっさり納得してくれた様子。]
(115) 2018/02/21(Wed) 22時半頃