…………直円さま。
[約束の通り、来てくれた。
その姿を見るだけで、全身から力が抜けるようだ。
その傍に五月雨がいることも、五月雨からキルロイの持つものに近い直円の魔力を感じるのは些か不愉快ではあるが、直円の行動であるなら、不満は口にせず、ほんのわずか、表情に滲ませるだけ。
>>101ヤナギから水の弾丸が放たれ、それを>>102直円の赤い壁が弾く。床にへたり込んだままのヤナギの粗相を叱るように、傷ついた指先を手に取り、柔く歯を立てて舌を這わせてから離す。
毒の唾液を含ませるような真似はしない、ただ甘いだけの行為。
しかし、その唇から溢れるのは。]
…………直円さま、を ください。直円さまのを、僕に
[>>102して欲しいこと、なんて問われて他を求められるわけがない。
恥じらうように、視線は直円に向けられないまま。
熱の篭る吐息が、口元に寄せたままのヤナギの指先を湿らせた。**]
(114) 2016/06/16(Thu) 17時半頃