[戸惑いを一度霧散させたのは、高らかに響く舞台上の台詞――じみた、挨拶>>62>>63。
そのテンションに思わず一度口がぽかんと開いてしまったが、台詞の主からの自己紹介を聞き、そこで思い出した。]
アシヤ……芦屋先輩? ああ、 ああ!
[目の前の人が、学生時代に見た舞台の「王子様」だったと漸く気づいた。
まさかの、噂の「イケメン二人組」の揃い踏み。当時とはふたりとも違う髪色になっていたけれど、それでも私が受けた「凛々しい」印象はあの時のままだった。
私の目はまず大きく見開かれ、それから、僅かに下に視線を落とした。]
あの、その……。
お二方とも、お会い、できて、嬉しい、です。
[手紙の件とは別の意味で、言葉がおぼつかなくなるのを自覚した。
スターたちを前にはにかむ乙女――多分、そんな言葉が似合う姿になっていた。]
(114) 2017/01/28(Sat) 19時半頃