[けれど、そのプロジェクトは突然変質した。
――アンドロイドを人間の兵士の代わりに戦争に登用する。その計画に父は抗ったが、彼は失意の内に膝を折る事となった。
まだ十代だった男は飛び級で学業を修め、既に研究職に就いていた。
父の考えに共鳴していた男はそれらを目の当たりにして唖然とし、心が折れて病に倒れた父を見て歯噛みした。
男の手元に残ったのは、密かに父と二人で考えていた自律型アンドロイドの構想と設計図。
人間とアンドロイドの共存という理想を叶える為に、自分で考え、行動するアンドロイドを作りたいと。男と父は夜を明かして語り合った事もあった。
軍はプロジェクトに参加しないのであれば、国家に反逆の意思ありとして罪に問わない代わりにそれを差し出すように男に要求した。
父と二人で考えた構想を心無い者に蹂躙されるのを拒み、男は将来的に彼女を完成させる事を目指すプロジェクトに身を投じた。]
(114) 2014/07/09(Wed) 03時頃