[自分のものだ、と、確かに告げるセオドアに、やはり釈然としないような表情を向けつつ。
それでも、そう言い切ると言う事は、自分が身につけていたなり、何なりしたのだろう。
発見されてから意識を取り戻すまでの記憶が混乱していて、―――今も混乱してはいるが―――今は素直に、自分が持っていたという情報を鵜呑みにするしかなさそうだった。]
……身内、形見。
[そう挙げられれば確かに、自分が持つには本当に相応しくないものだ、などと思うのだが。
盗んだもの、その言葉に、少しだけ口の端を上げて。]
……俺が盗人と判明した途端、皆の態度が変わったら、面白そうだな。
[冗談のように、そう口にして。
それでも心の奥でそうであってほしくないと祈るのは、心優しい彼らを裏切りたくないと、そう思ってしまうからだろうか。
掌で転がしていた黄金色を、軽く、握りしめた。**]
(113) 2013/06/18(Tue) 08時半頃