[動揺を隠さず発露する彼に、口角が自然と上がる。>>97
恥辱に耐えきる強さも、無邪気な嗜虐性も持つ癖、こうして触れると甘く溶け出す彼が愛しかった。
元々高貴な生まれである彼は、屋外で痴態を晒すことに抵抗があるのだろう。
まして死者の、彼の保護者然とした使用人の眠る地で暴かれるなど襲う羞恥と背徳は如何ほどのものか。
十分な意識を誘ってから、己の右手を口元に運んだ。
迷う素振りも見せず、人差し指と中指を自らの前歯で噛み切り、血球を滲ませてみせる。
深く齧ったために、片眉を僅かに揺らしたが、この鋭痛にも慣れたものだ。
どうせ、この痛みとは一生涯付き合うことになる。
彼を生かす赤い鮮血が周囲に濃い香りを混ぜ、互いの鼻腔を擽った。]
ほら、トレイル。
―――…ミルクの時間だ。
[生真面目な声で、しがみ付いてくる圧>>98に大人ぶって囁く。
だが、何時ものようにそれを運ぶ先は彼の口元ではなく。
―――血に濡れた指が向かうのは彼の下肢。]
(111) momoten 2014/02/09(Sun) 15時半頃