[国王の身体を、恭しく、両腕で抱き上げる。
華奢な細腕に見合わない腕力で、そのまま元来た廊下を戻り、王宮内を歩く。金狼が傍らに続く。
ヴェーラムドが来た時の為に、双頭の鷹を具現化して、放つ。
かつかつと靴の鳴る音と、ちゃ、ちゃ、という獣の爪音が廊下に響く。遠い喧騒。時折響く怒声や悲鳴は、戦闘員のものだろう。武器を食うマドカの犬に追われているのかもしれない。そうして逃げればいい。国の外に出て、魔族に捕らえられ、今を、生き延びればいい。
バルコニー手前で、国王を下ろす。
その外をそっと窺えば、先程の裏庭よりも広く見渡せるそこに幼い子供>>5:119などの非戦闘要員の姿]
……なるほど
[すっと戻り、壁に凭れさせた国王の額を手で掴み]
起床願おう、国王陛下。そして狂え
わたしは月の狂気をこの身に宿すもの
[月の狂気は、犯罪者に影響を与える殺人衝動。だがそこまで狂わせると恐らくこちらの関与が強く疑われる。ここは、恐らく、ほどほどくらいにしておいた方がいい。
理性をなくし、奇怪な声をあげ、視線は茫洋とさ迷い、足はもたつき、人間らしい会話は出来ない。それくらいでよかろう]
(111) 2013/11/27(Wed) 20時頃