[そこには物凄く厳つい顔をした巨躯の教師がいた。誰かを探しているような、怒りに満ちた顔で周囲を歩き回っている。
……あの先生も怒らせると恐いタイプだが、一体何があったというのか。]
おい、なんかしたのかお前ら。
[問いかけてやると、生徒は頷いて唇を震わせた。
どうやら悪戯半分で先生をおどかして遊んでいたら、うっかり飛ばしてしまったという。先生のカツラを。
事情を察して、ああ……と呆れる。]
そりゃ自業自得だなあ。素直に謝っておいたほうがいいぞ?
俺も一緒に付いててやるから。
[そんなに恐怖に震えるくらいなら、最初からやらなきゃいいのに。
そう思いつつも面倒は見てやる。まあ、いい薬にはなっただろう。
俺の想像じゃあ新しい環境に皆もっと萎縮しているかと思ったが、それよりも羽目を外している奴のほうが多いのかもしれない。
肩を竦めてやれやれと首を振る。
そうして、お騒がせな悪戯生徒たちの尻拭いを手伝ったのだった。]
(111) 2014/10/16(Thu) 02時頃