―Xday-2day・P.M.8:00前・ハルヒラシティ内レストラン―
[待ち合わせの時間まであと少し。目の前に置かれたアイスティーのグラスに浮いた水滴を人差し指でなぞる――まあ暇なのだ。
シーシャと名乗る彼と出会ったのは半年ほど前の公園で。
冴えない男と可愛らいしい雑貨の組み合わせが物珍しくて、ただそれだけの理由で足を止めた晶だったのだけれどシーシャは違ったようだった。
彼の自作だというそれについて心から嬉しそうな笑顔で語る姿は、正直に言えば当時の晶には鬱陶しいものとしか映らなかった。
けれどどうやらそれなりにファンも居るらしいと、知ってからはいつもの通り。金銭的な余裕はないと貢がれるアクセサリーはオークションでそれなりに捌け、晶の懐に多少の潤いをもたらした]
でもなぁ…そろそろ潮時、かな。
[人の良さそうな彼は、嬉しそうに、本当に嬉しそうな顔で自分にアクセサリーを差し出すのだ。
「君に似合うと思ったんだ」
そんな事を言って。
昔の晶のような笑顔で。
頬杖をついてガラス張りの向こうを見詰める…恐らく此方へと走ってくるだろう彼を想いながら]
(111) 2014/03/12(Wed) 00時半頃