―夜/食堂『森の真珠』―
(ぐらんぐらんと体が揺れ始める。もしかしたらごちっと何処かに頭をぶつけたかもしれない。しかし案外直ぐにはたっと目が覚めた。元より突然の呼び出しが多い仕事だ、職業病なのかもしれない。
自分を揺らした主は――また随分と可愛らしい様相になっていた。今までの姿では一度も見た事のない。髪を少しいじった姿。寝ぼけ眼を軽く擦って何時もと変わらない笑みを返す。もう無意識になってしまっているのだろうか。ぽん、と頭に手を置いた。)
君が起こしてくれたのかいカリュクス…その髪は?随分可愛らしくなってるじゃないか。
(寝て起きたばかりのせいか、どうにも表情がきまらない。少しふにゃりとした笑みを返して自分の隣を促す。…そうだ、彼女には聞きたい事があったのだ。それにも関わらず、疲れに寝てしまっていたとは情けない。
オーレリアが居るのなら、彼女も隣の席へと促すだろう。そして、この場で口にする。ずっと、この村で彼女を見つけた時から決めていたことを。)
……なあ、カリュクス。僕の所にこないか。どうにも、君を教会に返す気がなくなってしまったんだけど。
(110) myumyu 2017/08/24(Thu) 01時頃