悲鳴がした方を見に行ったら、
廊下にマネキンが倒れてた。
[きっと誰かの悪戯だと思い込みながら、あの状況を思い返す。風子の居場所に対する手掛かりになるとは思えなかったが、状況は伝えておいた方がいいはずだ。
湧きあがる不快感を抑えつけながら、できる限り客観的に見たものを言葉にした。]
マネキンには女子の制服着せてあって、
辺りに血みてーな液体がぶち撒けられてた。
……もう一度言っておくけど、
ただのマネキンだからな。
[居合わせたクラスメートの反応を思い出して、あくまでマネキンであることを強調する。あれはただのマネキンだ。そうに違いない。
窓も扉も開かない。外に出られない。こんな状況下で起こった異常が、ただの誰かの悪戯なのだろうか。
浮かびかけた疑問は、まだ直視できそうになかった。*]
(108) 2015/06/22(Mon) 18時頃