[ 魔王は、エリュシカ国王をどんなふうに壊す気だろうか。 泣き叫ぶことしかできない気狂いにするか。 それとも、 戦争を止め、白旗を上げよと言わせるのか。 ][ どちらであれ、王女に加えて国王まで魔王軍の手に落ちれば、 「エリュシカ王国」という国は、もはや国家の体裁を保っていられないだろう。 「王」がいないのだから。 ][ そんなふうに、考えていたところで、走る女の姿に気づいた。 ][ 見逃そう、と思った。 勇者でもない女一人に、何か出来るとも思えない。 斥候の報告によると、暴走したヴェラは非戦闘員にまで手を出したという。 だから、これ以上はもう、 ][ そう思ったのに。 ]
(107) 2013/11/27(Wed) 15時半頃