[それから、彼を見る。少し気弱そうだが、悪い人にはとても見えない。歳は……いくつくらいだろう。若そうに見えるけれど。マドカは少し首を傾げて、尋ねた]ええと……この旅館の方、ですか?[そう聞いたのは、「お困りですか?」という問いかけが、スタッフの気遣いのようだと思ったから。というのと、やっぱりこの年末をここで過ごす宿泊客が他に居るとは、あまり思えなかったからだ。そして尋ねてから、だとしたら廊下を音を立てずに歩けるか、なんて素直に言ったのは失敗だったかもしれない、と思った]**
(107) 2016/12/26(Mon) 08時頃