[調べたい事を問うても、かの運命者は歴史書の使い方すら覚えておらず、
《ハワード》は困ったように笑んだ記憶がある。]
時が満ち、
何時か貴方の殻が力や記憶に耐えられるようになった頃。
その時再び、不変の三位自ら貴方に接触を図るでしょう。
[その時まで、浸み出した重い運命者としての欠片は、全てここに収めておきなさいと。
差し出したのは一つのインク瓶。
未だ器は成熟を満たして居ない。
それでも蜜は滲み、甘さに吸い寄せられる異変を避ける術を幼子は持たぬまま。
ならば時が来るまで蓋を絞めたままでも構うまいて。
まさかそれに巣食ってしまう者が居たとは、その時には欠片も思い至らず。
小さな、子供にとっては大きな瓶を彼の心臓に隠して、
少年が次に目を開けた時には、図書館も歴史書も消え失せていただろう。
大図書で交わした、幾つかの会話も含めて。*]
(107) 2014/11/15(Sat) 22時半頃