[>>104放課後の、朱に染まった静かな図書館。
インク瓶に収まっていた小さな朱の本を開いた次の瞬間、身体は冷たい床に投げ出され、そのまま暫く放心状態。
尻餅をついた床は白いマーブルで、触れればその冷たさを肌に伝えただろう。
薄汚れた学校の床や粗末なパイプ椅子は何処にも無く、校舎がすっぽり収まってしまうのではないかと思う程の空間。
遙か彼方の本棚は霞んで見えて、自転車もしくは友人が自慢していたスクーターが欲しいなと、少し思った。
まるで自分がそこに居るのがさも当然とばかりに、異空間に登場してしまった図書委員は落ち着き払って、
物珍しそうに周囲を観察しながら複数の棚を覗きこんでいる。
複雑な記号と数値で区別された棚番号に首をかしげても、それでも歩みは止まらない。
酷いデジャブと違和感を抱えて、
この場所は、確かに、
来た覚えがある。]
(106) mzsn 2014/11/26(Wed) 17時頃