─ 回想・儀式の間 ─…それでも、勇者の召喚を止めなかったのは。王女が、あまりに、痛々しかったからだ。我らを家族と呼んではいても、実の家族と言葉交わせぬのに。それでも気丈にされていた王女が、勇者にどれ程の希望を託していたか。貴方もそれを、目の当たりにされていよう。だから私は王女を止めなかった。止められなかった。その代わり、我らが勇者に頼りきってしまう前に、頃合を見て元の世界に帰そうと。そう、思っていた。[苦く、弱く微笑んだ後、瞳を伏せて]
(105) 2013/11/24(Sun) 20時頃