[余計な一言は相も変わらず無くなりはしないが、嬉しそうにされてしまえばそれを咎める気も失せる……あぁ、これだから餓鬼は苦手だ。
腹いせに吹きかけてやった煙だって、眉を寄せながらも何で少し嬉しそうなんだか。
理解は到底出来やせんが、それでも気勢は削がれてしまったものだから、坊主の周りに立ち込めた煙を白い手袋が嵌められた手で軽く払った。
だけれど何気なく吐いた揶揄の言葉は、思いの外坊主に気を使わせてしまったらしい。
言葉を探すような様子には、小さく呟かれた謝罪には、逆にこっちが気不味くなってしまった。]
……はあぁ。餓鬼が一丁前に、大人に気を使おうとしてんじゃねェ。
そういうのは、大人の仕事だ。子供には子供の、大人には大人の仕事がある。……分かるか、坊主。
[だから盛大な溜息と共に、この坊主にはちゃあんと教えてやらないと――まぁ自分が"大人の仕事"とやらを全うできているかは怪しいが、そこはこの坊主には分からんだろう。
それっぽい事を、それっぽく言うのが大事なんだと。これは説教をする上で、大事な事だ。]
(104) 2015/04/07(Tue) 04時頃