[>>99沈黙の間、縋るような視線は直円に結ばれたまま。
その視線の温度が上がる気配はなく、じわりじわりと胸を蝕むのは、絶望の色。
最早かつての仲間の中に己の居場所は無く、直円に捨てられればこの命も無用のものとなる。
死すら過ぎる思考を止めたのは、思いがけない、一撃だった。]
……ッ!!
[脚が払われ、体勢が崩れる。
直円の着物を掴む手は離れ、身体は汚水の中に沈む。
身を起こす隙も与えられず、後頭部に硬い感触が触れた。
鼻をつくアンモニア臭に、胃酸の匂い。ぐ、と喉奥にせり上がるものを感じながら、それでも拒否することは考えなかった。]
……っぐ、ぅ、…………
[視線が突き刺さる。汚物に塗れた己を、直円がそれでも愛してくれるなど、保証はどこにもないというのに。
舌先で黄色の水溜りを掬い、無理矢理に嚥下すると共に、溢れ出た涙が床を濡らす。
それでも、舌を動かすことは止めず、少しずつ、床を清めては汚していく。*]
(103) nico 2016/06/20(Mon) 01時頃