[>>102玲斗の頭を撫でる手が、由良の手と重なって、再び目の奥が熱くなる。重なるのに、全然違うんだ。これは由良じゃない。その事実が更に胸を締め付けた。
それでも笑顔を作り、いつものように元気よくぴょんとベッドから飛び降りる。そうする事でしか、自分を保つことができなかった]
心配しなくても大丈夫だって!玲斗が言ったんだろ?由良は元の世界に帰ったんだろうって。
俺、それ信じてるからさ。
[嘘だ。信じてたって、大丈夫なんかじゃない。
だって、今ここに由良はいないんだから。]
俺……俺、ちょっとぶらついてくる。眠気覚ましにさ。
しばらくしたら……教室に、戻るよ……。
[そう言って心配してくれる玲斗にへにゃりと笑って見せて、保健室を出て行く。孤独を嫌う自分が、初めて望んで孤独になりたいと思った。
彼の居ない世界では、どこもかしこも色あせて見えてしまったのだ**]
(103) 2014/04/15(Tue) 00時半頃