[>>95言葉を飲み込んだ様に、>>96考え込むその姿に、もういい、と言ってしまいそうになるけれど。
一生懸命考えながら告げられる言葉を一言一句聞き逃さないように、と。
彼女が思っていた以上に、彼の状態は逼迫していて。
そして、彼は自分の意思でここにきたのではなくて>>2:87
記憶すら彼にはないという言葉に、それは予想だにしなかったことで、今度こそ目を見開いた。]
……ごめんなさい。
[彼が目をそらすなんてはじめてのことで、やはり聞いてはいけないことだっただろうか、と。
なにより、この動揺を彼に見せたくなくて、自分より大きいはずの、小さく見える体躯を抱きしめた。
傍から見ればそれは、抱きついたという方が正しかったかもしれない。
せめて泣いてくれたら、慰められるのに。
これじゃあ、反対みたいじゃないか。]
(103) 2016/05/12(Thu) 00時半頃