ーE地区 教会ー
[教会の重い扉は閉まっていたが、脇の勝手扉のような小さな場所は軽い金属音と共に、迷う羊を中へと誘う。
薄暗い礼拝堂は変わらず会衆席が整然と並び、ステンドグラスが淡い光を振らせ、採光窓からは日光がオーロラのように差し込んでいた。
重苦しい空気が淀む中、ふと目についたのは…棺桶。
倉庫に仕舞ってあったはずの棺桶が、何故か通路に出ている事に首を傾げ。
片付けようと持ち上げれば、微かに香る加齢臭。]
……マデラノンノ?
[この磯っぽさと油っぽさが混ざる臭い。間違いない。
けれどまさか、あの人が?と思考は歪んで。
メールを見るのすら覚束ないというのに、メールを見た上URLをクリックしてさらにその先のボタンを押すなんて…
と、考えていても仕方がない。]
ちょっといい?
[と一言、緊張感のないまま端末を取り出した]
(103) 2014/12/07(Sun) 21時半頃